エンタープライズ・デザイン・ファセットは、あらゆるエンタープライズに関連する3つの基本的な視点を提供します。一貫性のあるエンタープライズ・デザインを達成するために、エンタープライズが答えるべき一連の問いかけを特徴としています。これらの問いは、単一の組織単位の境界内から、エンタープライズが組み込まれている周囲のエコシステムに至るまで、エンタープライズ内のどのレベルでも適用できます。
各ファセットは5つのエンタープライズ・エレメントのセットを参照します:3つのファセット要素、隣接するファセットの重なりにある2つのインターセクション (交差) 要素です。これら5つの要素とその関係は、特定のファセットの質問に答え、ファセット間の相互作用を探求できるようにデザインされています。
3つのファセットとは
私たちのエンタープライズはなぜ存在するのか? 我々は何者なのか? 私たちにとって何が重要なのか?これらの問いに対する答えは、エンタープライズに属する人々が抱いている信念に含まれ、彼らの振る舞いを通じて表現されます。それはエンタープライズのパーパス、共有されたストーリー、コンテンツ (シグナル) に反映され、伝達されます。それは組織により追求され、ブランドの知覚によって呼び起こされます。それはエンタープライズのすべての要素のデザインのされ方に現れ、それによりエンタープライズ全体が内外の人々を巻き込み、エコシステムの中で自らを位置づける共有されたアイデンティティを構成します。
我々はどのようにエンタープライズを経営しているのか? 我々は何ができるのか? 何がすべてを調和させるのか?これはエンタープライズを運営するために必要な構造、つまりそれがもつケイパビリティ、それが実行するプロセス、それらの実行に必要な組織とアセット、さらにはエコシステムに接続するための構造によって答えられます。それらはその組織によって開発され、プロダクトを生み出し、人々に提供するために必要なものです。このアーキテクチャの創発的な側面は観察し、それに影響を与えることが出来ます。すなわちエンタープライズ要素を意図的にデザインし、共創することが出来ます。
私たちのエンタープライズが人々の生活に果たす役割とはなにか?私たちは人々のために何ができるのか?このファセットでは、そのエコシステムに関わる人々の生活において、エンタープライズがどのように姿を現すのか、また彼らとの対話を通して彼らにどのような影響を与えるのかに着目します。これはタスク、かれらがたどるジャーニー、そして彼らがエンタープライズとの対話に用いるチャネルで表現されます。エンタープライズはブランドを通じて人々に働きかけ、プロダクトを生み出し提供します。これらすべてが、その構成要素を通じ人々がエンタープライズと接触した結果、エンタープライズが人々の現実のなかで呼び起こすエクスペリエンスになります。
2つのファセットが重なる領域は、インターセクションと呼ばれるレンズを形成し、3つのエンタープライズ・エレメントになります:
ファセットを用いることで、それぞれの視点、また同時に複数にまたがる視点での探求、デザイン、共創が促進されます。各ファセットは、その視点からエンタープライズを捉え記述するために必要な要素と関係に着目し、対象となるスコープの特定のエンタープライズ特性のセットにフォーカスできるレンズとして機能します。ファセットを使うことで、各分野のスペシャリストは、自分にとって最も重要なことに集中し、ファセットとその統一言語を使うことで、仲間だけでなく、他の誰にとっても理解できる方法で、自分の発見とデザインを表現することができます。それぞれのファセットを個別に探求することで深みと詳細な洞察が得られ、ファセットを重ね合わせ、交差させることで広さと包括的な全体像が得られます。
画像のインターセクションが示すように、すべてのファセットは重なり合い、交差しています。これはエンタープライズ (およびその一部) は、いつでもそれぞれのファセットの視点を通して見ることができるという、ファセットの重要な特徴を示しています。 このファセットの性質は、以下の生成アートワークの動画で表現されています:
エンタープライズ・デザインのジャーニーは、多くの場合ひとつのファセットから始まるのが理にかなっているとしても、次の例で説明するように、ファセットの相互作用をデザインするときに、その真の可能性が発揮されます:
ファセットの各ページは、それを定義する一文で始まります。続いてそのファセットが何を表し、EDGY言語にどう貢献するかをひとつ以上の段落で詳しく説明します。ページの残りの部分では、次のような構成で追加情報を提供します:
ひとつ以上の文章で、エンタープライズの文脈で見られるファセットの例を説明します。 これらの例は網羅的なものではなく、エンタープライズ・デザインを実践する際にファセットをどのように使用するかをテキストで説明するためのものです。
エンタープライズ・デザインを実践する際に、エンタープライズの重要な側面を特定、説明、または強調するためにファセットを使用する方法を列挙しています。 「例」と同様に、これらの記述はファセットの使用方法についての提案であり、規範ではありません。読者の皆さんには、ご自身の練習でファセットをどのように使うか、創造力を発揮して他の方法を模索することが推奨されます。
それぞれのファセットについて、3つのファセット要素と2つのインターセクション要素が挙げられています。これら5つの要素がファセットの本質を定義しています。各ファセット内での会話は、この5つの要素を中心に形成されます。各ファセットにおけるデザインの検討は、対象のエンタープライズにおいて5つの中核的要素がどのようなものかを特定し、説明することから始まります。ただしこれは類似の概念が別のファセットでの会話においては意味はない、あるいは役に立たないわけではないことに注意して下さい;それぞれのファセットはある面を強調する一方で他の面を無視できる、いわば「レンズ」や「フィルター」なのです。「無視された」要素はもちろんまだそこに存在し、会話の中で必要な概念となることもあります。
議論されているファセットの同義語、またはそれに近い言葉としてよく使われる概念のリストです。 これらのリストは完全なものではなく、ファセットが会話やデザインの実践でどのように使われるかを読者に広く理解してもらうためのものです。私たちは読者の皆さんが時と場合に応じご自分の仕事に役立つと思われるようにこれらのリストをご自分のバリエーションで修正されることをお勧めします。
Artwork credits: Colorem — a generative artwork by Fabio Catapano illustrating the EDGY Enterprise Design Facets, reproduced with the artist’s permission.
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